アンティークに携わっていると、度々アンティークのビスクドールを目にすることがあります。
19世紀初頭にドイツでつくられた8頭身人形「ファッション・ドール」がビスクドールの始まりと言われています。
上流階級の貴婦人たちが、自分たちと同じような豪華な衣装を着せて楽しんでいたようです。
このファッション・ドールは、子どものための人形というよりも、オートクチュールのマヌカンとしての要素が強く、貴族の人々がファッションを楽しむための人形だったようです。
その後19世紀中頃から、ドイツとフランスで「bebeタイプ」といわれる頭部がビスク製の5頭身の人形がつくられるようになりました。
上流階級の少女たちの「遊び相手としての人形」です。
そして19世紀後半には製造技術の向上に伴い、ドイツでビスクドールの量産が始まり、庶民の子どもたちにも普及し始めました。
しかし20世紀に入ると、安価なプラスティックや布製の人形が大量に生産され、壊れやすいビスクドールは時代遅れとされ次第に廃れてゆき、そしてついには製造も終わってしまいました。
現在コレクターの間では、19世紀中頃からつくられた「bebeタイプ」の人形が人気のようです。
なかにはほんの数年間しかつくられなかったものもあり「幻の人形」といわれ、驚くほどの高値で取引をされています。
ネットで、アンティークドールを扱っている海外のお店を覗いてみたところ、人形一体が数百万円といものもありました。
100年以上経った現代にまで大切に伝えられてきたアンティークドール。
おそらくこれまでの間、いろいろな出逢いと別れを経験してきたのでしょう。
アンティークドールの顔には、少し憂いを含んだような、何ともいえない「深みのある表情」が感じられます。
アンティークドールは素敵なのですが、当然私には扱う余裕も自信もありません。
でも最近とても惹かれて止まない私。
なので、とりあえず本を買ってみました。

7年くらい前に発行された『骨董 緑青』のフランスアンティークドールの特集号。
当時フランスの工房でつくられた人形の写真が、解説とともに掲載されています。
ドールのコレクターで著名な神谷圭子さんが所有されている「エデン・べべ」も載っています。
評判通り、とっても可愛いエデン・ベベ。
このエデン・ベベに憧れて、同じタイプのエデンを探し求めているコレクターの方も多いそうですよ。
ところで神谷圭子さんといえば、20年くらい前に発行された『マダムプッペの人形通信』という本があります。
この本もまたとても評判が良く、ぜひ読んでみたかったのですが、残念なことにもうどこにも売っていません。
出版社にも問い合わせをしてみましたが、現在は再版の予定はないそうです。
手に入らないと思うと、余計に欲しくなるのが人間の心理。
どこかにまだ売っているところがありましたら、ぜひおしえてください・・・・・。